家庭用水槽におけるシジミの水質浄化効果に関する研究

家庭用水槽におけるシジミの水質浄化効果に関する研究

Study on the effect of purification of water quality in a domestic aquarium

工事課 松野竜登嗣

1.はじめに

自然界における牡蠣やシジミ等二枚貝の水質浄化作用については、その有効性についてはすでに一般的にしられているとおりであるが、家庭用の水槽という限定された世界においては、どこまでその効果と実用性がるのか、実際に水槽にシジミを投入し検証を行ってきた。そして、およそ半年間の成果から家庭内水槽においては水質はよくなっているかもしれないが、水替えによる水質の改善程にはその効果は期待する程ではないということが明らかになった。又、同時にシジミを水槽に入れるデメリットについては想定外の事態が起こり、安易な気持ちでシジミを水槽に入れることの危険性が露見することになった。

2.目的

家庭内水槽における面倒な定期的な水替えの回数を、シジミの浄化作用により減らそうとするもの。家庭内で水槽を設置した場合、水槽を眺めることによるリラックス効果やストレスの軽減などのメリットを得る代償に水替えという時間と体力の浪費というデメリットをもたらすことになる。この水替えという作業を出来るだけ手間をかけず、また安価に済ませたいという発想からシジミを投入するだけで水が浄化されれば、日々の負担の軽減になるという目的からこの研究が始まった。

3.方法

現在設置されている水槽の中に、スーパーの安売りのシジミを投入し観察する。水槽には淡水系の熱帯魚と小さなエビが生息し、水草が植えてある。どちらかというと魚よりも水草に注力しておりいろいろな種類の水草と、芝生のように水槽の底面を覆うように生えるショートヘアーグラスという水草を育てている。最初はあまり伸びなかったが、少しずつ伸びてきて良い感じになってきている。シジミ投入後は、シジミの浄化作用で水替えをしなくても水がきれいで素敵な空間を保持してくれると期待する。

4.結果

スーパーで安売りで買ったシジミ30~40匹程を全て投入した結果、3日のうちに半数が死んでしまい水がとんでもなく濁り、臭気が発生した。生き残ったシジミが底の土を掘り返し、益々水が濁った。日に日にシジミが死んでしまうので、毎日水替えをすることになった。水が濁ったせいか魚やエビも次々に死んでしまった。大事に育てていた水草も土を掘り返されて根っこから引き抜かれ水底は荒廃した。最初のうちは引き抜かれた水草を植え直して、シジミを土から掘り起こし水草から離れたところに置いていたが、いつのまにかまた水草の下に潜り込んで引き抜いてしまい、とうとう全て枯れてしまった。魚は一気に死んでしまったトラウマがあるためしばらくはシジミだけの水槽になってしまった。

5.考察

シジミはまだ何匹か生息しているが、シジミによる浄化作用で水がきれいなのか、水替えによって水がきれいなのか判断が難しいところだ。少なくともシジミ投入前よりは水替えの回数は増加した。 また、シジミのみの地味な水槽ではリラックス効果を得ることは困難であるということが明らかになった。

6.結論

楽をしようとして安易な行動に出て返って裏目に出るというのはある種自然の摂理と言わざるを得ない。

7.あとがき

現在は夏祭りで子供が掬ってきた金魚が入っている。水草は植えても掘り返されるので植えなくても育つ水草を入れてあるが、筆者が求めていた水槽とはかけ離れたものになってしまった。

”シジミ投入後、水が濁ってしまった”

”土の下のシジミに掘り返される水草”

”そして誰もいなくなった”

”現在は金魚が住んでおります”

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